経営学で考える

 「単純な「賃金による動機づけ」は科学的根拠のない迷信である。」

 人事担当者であれば、ハーズバーグの動機づけ−衛生理論を知っている人は多いでしょう。改めて著者に言われるまでもありません。でも、知っているのに何故か、賃金制度を重視してしまいます。著者は、次のようにも書いています。「お金には、ある種の強い副作用と常習性がある。〜やがて麻薬中毒者のように、金銭的報酬をもらい続けないと仕事に耐えられないほど、仕事を苦痛なものにしてしまう。」

 では、どうすればよいのか? 著者が再三、言い続けていることですが、「次の仕事で報いる」ことが処方箋のようです。従業員本人にとって興味深い次の仕事を担当させることに喜び=モチベーションを感じてもらい、金銭的報酬はそれに付随して少しずつ増やしていくことが重要なようです。以前の日本企業には、当り前に出来ていた手法ではないでしょうか。

 著者は、一世を風靡した書籍「虚妄の成果主義」で知られる研究者ですが、今一度、その考え方にふれることで、ヒントを得ることができるかもしれません。 

著    者:高橋 伸夫

出 版 社:有斐閣

発 売 日:2015年9月

カテゴリー:学術書(経営学)