取締役の法律知識<第3版>
著者は、この書籍の第1の特徴として「取締役会に出席したとき、1人で決定するときなど、具体的な場面に即して」、「経営判断の原則」について、力を注いで解説したことを挙げています。取締役として知って置かねばならないことが書かれているわけです。ですので、取締役ではない人事担当者には、直接関係なさそうです。ところがどっこい、これが結構、参考になるのです。
例えば、取締役、執行役、監査役、それぞれの違いと役割を解説してくれます。そして、執行役は会社法上のものですが、執行役員は法律上のものではないので、会社ごとに定義が異なります。そのため、会社によっては経営者に近い存在であるケースもあれば、従業員に近い場合もあり得ます。また、従業員との雇用契約に基づく「給与」が「労働の対価」であるのに対し、取締役との委任契約に基づく「報酬」は、経営のプロとしての「業務遂行の対価」である点が異なると解説されています。会社法が改正され、ますます理解が困難になる中、分かりやすく解説してくれるのでありがたいです。
専門分野ではないものの、新聞レベルよりはもう少し知識を持っていたい。そんな人事担当者にお薦めできる書籍です。新書ですので、手軽に素早く知識を習得することができるでしょう。
著 者:中島 茂
出 版 社:日本経済新聞出版社
発 売 日:2015年4月
カテゴリー:新書(会社法)