合併による就業規則
A.消滅会社の就業規則は、引き継がれることになります。
合併には、吸収合併と新設合併がありますが、2つの企業、「A社」と「B社」の場合で想定してみましょう。吸収合併の場合、A社がB社を文字通り吸収するのであれば、吸収されたB社は消滅します。新設合併の場合には、新しい会社が設立され、従前から存在するA社とB社は両方とも消滅することになります。
会社法750条1項は、「吸収合併存続株式会社は、効力発生日に、吸収合併消滅会社の権利義務を承継する。」とし、同754条1項は、「新設合併設立株式会社は、その成立の日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継する。」としています。つまり、吸収合併、新設合併いずれであっても、権利義務が承継されますので、就業規則は当然に引き継がれることになります。
そうなると新会社では、旧A社と旧B社で異なる水準の就業規則が、並存する場合がでてきます。しかし、就業規則は事業場毎に作成されるので、事業場に変更がない限りは、そのままの状態で存続します。ただし、一つの会社で2つの水準の就業規則が、並存することは様々な問題を引き起こすことになるでしょう。そのため、A社とB社で合同の“合併に関する委員会等”が組織され、合併後に使用する統一された就業規則を準備することが一般的だと思われます。