仕事と人間性 動機づけ―衛生理論の新展開

 会社にとって、“給与”は利益を上げるための手段です。

 社員にとって、“給与”は生存するための糧であり、より高い給与を欲しています。ですので、会社は給与を増額することで社員の意欲を引き出し、仕事に励んでもらうことにより収益性を高めることができます。しかし、「そんなことは、ないよ」と言った人がいます。ハーズバーグの動機づけ・衛生理論です。人に“やる気を起こさせる要因”と人を“不満にさせない要因”は、別々に存在するようです。前者が【動機づけ要因】、後者が【衛生要因】と呼ばれています。

 ハーズバーグは、【動機づけ要因】として「達成の承認」や「仕事そのもの」を挙げ、【衛生要因】として「給与」や「対人関係」を挙げています。そうだとすると、社員のモチベーションをアップさせるためには、不満を防止するための給与を増額するだけでなく、仕事に対する評価や昇進について工夫した方がよいのかもしれません。また、「衛生改善の効果は短期間しかもた」ず、「衛生は麻薬のように作用する−使えば使うほど効果が薄くなる」ともいっていますので、やはり給与の効果は限定的だとハーズバーグは、いっているのでしょう。

 この書籍は、古典の部類に属するものだと思いますが、「故きを温ねて・・・」といいますので、図書館などで一度手に取ってみるのも面白いでしょう。給与や評価制度を担当する人事担当者には参考になるかもしれませ。 

著    者:フレデリック・ハーズバーグ、北野 利信 訳

出 版 社:東洋経済新報社

発 売 日:1968年3月

カテゴリー:学術書(心理学・経営学)