監督署は怖くない! 労務管理の要点

 「監督署は怖くない」のだそうです。

 そうはいっても、労働基準監督官に書類送検をされた結果、大手企業の社長が辞任に追い込まれるこのご時世です。労働基準監督官の臨検(立入調査)を歓迎する人事担当者はいないでしょう。そして、労働基準監督官は、ある日突然やって来ます。会社が臨検を断ることはできません。逃げられないのであれば、正面から向き合う他ないのかもしれません。

 労働基準監督官の臨検は、ランダムに実施されるわけではありません。厚生労働省が策定する「地方労働行政運営方針」および都道府県労働局が策定する「行政運営方針」を踏まえて、毎年、監督指導計画が作成されます。この書籍には、外部の人間では分かりにくい監督指導計画書の具体例があったり、サービス残業などの未払い賃金の遡及期間に関する説明があったり、大変役立ちます。また、労働基準法の前身である工場法時代の監督制度に関する解説もされていますし、最近の厚生労働省の対応状況も紹介されています。

 単なるノウハウ本ではなく、人事担当者が知りたい“もう一歩”について言及されているので、とても参考になるでしょう。労働基準監督官の臨検に対して正面から向き合うために、自己研鑽に励む人事担当者にお勧めしたいと思います。 

著    者:角森 洋子

出 版 社:労働調査会

発 売 日:2016年9月

カテゴリー:実務書(労働行政)