労働基準監督官とは?

Q.働基準監督官とは?

A.労働基準法等で権限を保証された特別司法警察職員です。

 労働基準監督官(以下、監督官)は、全国に3,954人配置されています。その内訳は、厚生労働省本省に40人、都道府県労働局に707人、労働基準監督署に3,207人となっています*。この人数で、日本のすべての会社を監督するわけですから、人手が足りないというのも理解できます。都道府県労働局には、監督官以外にも企業に臨検(立入調査)を実施する公務員がいますが、検察庁へ書類送検できるような強力な権限は持っていません。それができるのは、監督官だけです。例えば、労働基準法には以下のように監督官の権限が記述されています。

(労働基準法101条)

 労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。

(労働基準法102条)

 労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。

 このように監督官は、臨検を実施する権限だけでなく刑事訴訟法に定められる特別司法警察職員としての職務も担っています。特別司法警察職員とは、特定の犯罪に限ってその専門知識を活用し捜査を行う権限を与えられた公務員のことです。監督官の他には、海上保安官や麻薬取締官などが該当します。法違反が悪質と判断された場合には、逮捕や書類送検の可能性もありえますので、決して監督官を軽んじることはできません。

 また、労働基準監督制度は日本独自のものではなく、ILO(国際労働機関)の条約で定められています。つまり、監督官は国際社会のなかで認められた重要な存在であることがわかります。このようなことからも監督官の臨検に対する心構えをもつべきでしょう。

*出所:平成26年労働基準監督年報(2015年3 月31日現在)