無期転換前の雇止め

Q.無期転換前に期間満了による雇止めは可能ですか?

A.入社時に合意があれば可能でしょう。

 労働契約法第18条は、反復更新された「有期労働契約」が5年を超えた場合には、「期間の定めのない労働契約」へ転換できる旨を定めています。いわゆる労働契約法の無期転換の問題です。従業員が無期転換を希望したときは、定年まで働くことが想定されます。会社からみれば、雇用調整の裁量範囲を狭めることにつながるため、無期転換権が発生する前に労働契約を終了(雇止め)するケースが考えられます。

 この場合、入社時の労働契約で事前に「不更新条項」を定めておけば、無期転換前に労働契約を終了させることは原則として可能でしょう。「不更新条項」とは、通算の雇用期間や更新回数の上限を設けるものです。つまり、入社以前にあらかじめ合意されている契約内容であれば問題にならないわけです。

 一方、入社後に改めて「不更新条項」を設ける場合には、従業員の合意が必要になります。従業員が本当に合意していればよいのですが、合意しなければ契約が終了すると説明され仕方なく合意したケースとなると、後日、裁判でどのように扱われるかは微妙です。また、従業員が「不更新条項」に合意しないことをもって契約を終了(雇止め)した場合、紛争化まで考えると会社にとって困難な状況をむかえることが想定されます