副業・兼業の許可基準

Q.副業・兼業禁止に違反した従業員を懲戒処分できますか

A.副業・兼業は、原則として自由。やむを得ない事由がある場合に制限可能といえるでしょう。

 副業・兼業禁止に関するリーディングケースである小川建設事件(東京地裁決定 昭57.11.19)では、次のような文章が出てきます。

 「法律で兼業が禁止されている公務員と異り、私企業の労働者は一般的には兼業は禁止されておらず、〜就業時間外は本来労働者の自由であることからして、就業規則で兼業を全面的に禁止することは、特別な場合を除き、合理性を欠く。」

 この通り、副業・兼業は法律によって禁止されているわけではなく原則として従業員の自由と解釈してよいでしょう。しかし、全て自由というわけでもありません。就業規則に副業・兼業を制限する規定があれば、会社のルールとして一定の制約を課すことは可能です。それでは、どのようなケースを制限することができるのでしょうか。厚生労働省の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告書(平17.9.15)」では、副業・兼業を禁止する場合のやむを得ない事由について、次の4つが挙げられています

兼業が不正な競業に当たる場合
営業秘密の不正な使用・開示を伴う場合
労働者の働き過ぎによって人の生命又は健康を害するおそれがある場合
兼業の態様が使用者の社会的信用を傷つける場合

 副業・兼業について、会社が制限したいと考えるならば、上記4つの事由等について就業規則に記載し、許可制または届出制とした方がよいでしょう。また、届出制とする就業規則の定めがあり従業員が届け出なかった場合には、「会社に知らせる」という約束を破ることになりますので、懲戒事由の定めがあれば軽い懲戒処分は可能でしょう。