悪いヤツほど出世する

 「ジョブズも、ゲイツも、ウェルチも、みんな「いい人」     ではなかった!」

 この本のオビについているコピーです。スタンフォード大学で教鞭をとる著者は、リーダーシップ論をほとんど“ウソ”だと言い切ります。特に、リーダー教育産業を問題視しているのです。「誤ったリーダーシップ教育のあり方をなんとかしたい」と言っています。

 目次を見れば、著者の言いたいことが分かるものですが、次のような見出しが出てきます。「悪いリーダーははびこり、名リーダーはほとんどいない」、「上司を信じてよいものか」、「リーダーは、「社員第一」ではなく「我が身第一」」など。ちょっと言い過ぎでは?と言いたくなるほど、これでもか、というほど事例を挙げ反論を許してくれません。読んでいるうちにだんだん暗い気持ちになりそうです。そして、著者は言います。「リーダーシップについてよく耳にする教えの大半は、事実ではなく期待に、データではなく願望に、科学ではなく信仰に基づいているからだ」と。では、どうすればいいのか聞きたくなるのが人情でしょう。この問いに対して著者は、ある紳士と子供の会話で締めくくります。

 子供:「それで、お仕事はうまくいっているの?」

 紳士:「うまくいったと思う日もあれば、うまくいかない日もあるよ」

 子供:「がんばって続けてね、そのうちうまくいくから」

 「そう、リーダーだけでなくすべての人が、がんばって続けなければならない。」

 これが、著者の伝えたい最後の一言です。中途半端なご紹介で恐縮ですが、気になる方は是非読んでみてください。 

著    者:ジェフリー・フェファー /村井章子 訳

出 版 社:日本経済新聞出版社

発 売 日:2016年6月

カテゴリー:経営書(リーダーシップ論)