高度プロフェッショナル制度の年収要件

Q.高度プロフェッショナル制度の年収要件とは

A.平均年収の3倍を上回る水準とされています

 改正労働基準法が定める「高度プロフェッショナル制度」を導入するためには、様々な要件があります。その中でも、年収要件が気になるところでしょう。年収については1,000万円を超える金額がイメージされていますが、法律に明記されているわけではありません。厚生労働省の「省令」で定められるため、引き下げの可能性が心配されるからです。

 改正労働基準法は、年収要件について「年間平均給与額の三倍の額を相当程度上回る水準」と定め、「毎月勤労統計における毎月きまつて支給する給与の額を基礎」とするとしています。毎月勤労統計調査(平成29年分確報)によると、毎月きまって支給する給与は「260,776円」となっていますので、これを年収に換算し3倍すると約940万円になります。つまり、毎月勤労統計調査の金額が下がるか、労働基準法が改正されない限り、年収要件が極端に下がることは考えにくいでしょう。

 仮に、年収1,000万円超が対象者であれば、さほど大きな問題にはならないと考えることもできます。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、年収1,000万円超の給与所得者は約4.5%(平成29年分)であり、その多くは役員および管理監督者として既に労働時間管理の適用除外者だと想像できるからです。

 なお、「高度プロフェッショナル制度」の対象者は、労働基準法の「労働時間、休日、深夜労働」の規定が適用除外されます。一方、管理監督者は、「深夜労働」の規定が適用除外されておらず、夜22時以降の労働に対しては、深夜勤務手当が必要になります。この点には注意をしておく必要があるでしょう