日本女性の仕事とキャリア ~職業とタスクからみる均等法後40年
第1章の冒頭で、「職業」とは最小単位の「タスク」がまとまって「ジョブ」を構成し、それを知識や技能の類似性によって束ねたものと定義されています。職業とタスクに着目した実証分析によって、女性の能力活用に関する課題を研究した書籍です。
たくさんの分析および考察がされていますが、転職に関する部分が気になりました。一般論として、転職前後の仕事の共通性が高ければ前職の仕事の活用度合は高く、賃金も低下しにくい傾向があるといえるでしょう。著者は、転職前後の仕事の位置関係を「タスク距離」と捉え、次のように女性の傾向を確認しています。「女性では、タスク距離の大きい転職が相対的に多く、収入の低下幅も大きい」、「女性では相対的にスキル水準の低い職種への移動が多く、これが収入の変化の男女差につながっている可能性がある」と分析しています。女性の場合には、時間的・場所的制約からタスク距離の大きい転職をせざるを得ない状況が想像できます。
ここも気になりました。「日本標準職業分類(JSCO)は国際標準職業分類(ISCO)と異なり、スキルレベルの概念が用いられておらず」、職種の「分類の粒度が相対的に粗いという特徴がある」そうです。ジョブ型雇用社会と異なる日本では、職種を細かく分けきれないのでしょう。これは、性別による職種の違いを統計で把握しにくいだけでなく、ジョブ型雇用を目指す場合のハードルの高さを物語っているようにも思います。
この書籍は、博士論文をベースとした実証分析に基づくものなので難解な部分もありますが、女性のキャリアについて改めて学術的なレベルからも眺めてみたいという人事担当者にお薦めしたいと思います。