年休の時季指定について、従業員の意見に従う必要がありますか

 
義務はありませんが、尊重する必要はあります
 

 2019年4月1日施行の改正労働基準法には、年次有給休暇の時季指定義務が定められました。会社は、年次有給休暇の時季を指定する際、従業員の意見を聴かなければなりません(労基則第24条の6第1項)。そして、その意向を尊重するよう努めなければなりません(同第2項)。つまり、従業員の意見を聴取することは法令上の義務ですが、従業員の意向通りに年次有給休暇の時季を指定する義務までは負っていないということです。もちろん、会社は調整する努力は必要でしょう。年次有給休暇の時季指定義務を果たすには、このプロセスが重要になります。

 ところで、年次有給休暇の意見聴取義務は、初めて設けられたものではありません。戦後間もない1947年に施行された労働基準法には既に存在していました。労基則第25条は、「使用者は、法第三十九条の規定による年次有給休暇について、継続一年間の期間満了後直ちに労働者が請求すべき時季を聴かなければならない」と定めています。当初の労働基準法は、会社が従業員の意向を聞いて計画的に年次有給休暇を付与していくことを念頭に置いていたのです。しかし、行き過ぎた労働者の保護は戦後の復興を妨げるというような経営側からの圧力もあり、1954年の省令改正でこの規定は削除されます。それから60年余り経過し、従業員の請求によって成立する年次有給休暇が、部分的に会社の指定義務に転換されることになったわけです。ある意味において、労働基準法が成立した当初の考え方に近づいたといってもよいでしょう。

(参考:濱口桂一郎「日本の労働法政策」)

 

 詳しくはご相談ください

▲このページのトップに戻る