是正勧告と年休の時季指定義務

Q.年の時季指定義務を果たせないと是正勧告になりますか?

A.はい。残念ながらそうなるでしょう。

 働き方改革の一環として改正された労働基準法は、年次有給休暇の時季指定義務を定め、会社に新たな義務を課しました。年10日以上付与される従業員に対してそのうち5日について、会社は時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。加えて、年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保管する義務もあります。

 労働基準監督署の臨検(立入調査)があった場合には、さまざまな帳簿の提出を求められます。出勤簿や賃金台帳は、その代表的なものです。今後は、これらに加えて年次有給休暇管理簿の提出も求められるでしょう。年次有給休暇管理簿の作成は、法律上の義務ですので提出できなければ法違反を問われることになります。また、時季指定義務を果たせていない年次有給休暇管理簿を確認されれば、法違反は一目瞭然です。

 年次有給休暇の時季指定義務を果たさなかった場合、労働基準法第39条第7項違反になります。就業規則に年次有給休暇の時季指定の方法等を記載していなかった場合には、同法第89条違反となります。どちらに該当しても同法第120条1号により最終的には、「30万円以下の罰金」に処せられる可能性があります。ただし、厚生労働省は「改正労働基準法に関するQ&A」の中で、「是正に向けて丁寧に指導し、改善を図っていただく」としていますので、いきなり罰則が適用されることは少なく、まずは行政指導として改善を指導されると考えられます。