時季指定義務と半日・時間単位の年次有給休暇

Q.時間単位の年次有給休暇で時季指定義務を果たせますか?

A.半日単位はOKですが、時間単位は認められません。

 もともとILO第52号条約(1936年)では、連続した年次有給休暇の取得が想定されていました。年次有給休暇は、休養をするために一定の期間まとまった日数を取得するものだと考えられたからです。この考え方は、日本の労働基準法にも共通しています。そのため、半日単位や時間単位の年次有給休暇については、例外的な取り扱いだと整理しておく必要があるでしょう。

 日本の年次有給休暇は、1日が基本単位です。しかし、半日単位の年次有給休暇は広く普及してきました。厚生労働省の通達 基発150号(昭63・3・14)は、「年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない」としながら、年次有給休暇の取得促進に資するのであれば、違法とする必要はないというのが従来からの立場です。

 2019年4月1日、働き方改革の一環として労働基準法が改正され、年次有給休暇の時季指定義務が法定されました。厚生労働省は、1日に満たない年次有給休暇について、次の通達を発出しています。「半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合においては、〜年次有給休暇の時季指定を半日単位で行うことは差し支えない(基発1228第15号 平30・12・28)」 しかし、「時季指定を時間単位年休で行うことは認められない」とも書かれていますので、半日単位はOKですが時間単位で年次有給休暇の時季を指定することは困難だといってよいでしょ