労働基準監督署の臨検監督 〜働き方改革関連法の影響を踏まえて〜
研究開発リーダー9月号で「労働基準監督署の臨検監督 〜働き方改革関連法の影響を踏まえて〜」と題して寄稿しました。以下、その前文になります。
1 はじめに
働き方改革が進行中です。このムーブメントのきっかけとして、大手広告代理店の過労死事件が挙げられるでしょう。2016年12月、この会社は労働基準法(以下、労基法)違反により書類送検されました。労働基準監督署(以下、労基署)の臨検監督(以下、臨検)について、社会的な認知が一気に高まった瞬間です。厚生労働省は、その後も労基署の体制を充実させ日々、臨検が実施されています。
人事におけるコンプライアンスとして、まずは労基法を遵守することが挙げられます。そして、労基法の番人として存在するのが、労働基準監督官(以下、監督官)です。会社からすれば、できればお世話になりたくない存在でしょう。しかし、ある日突然にこの活動はスタートします。臨検は、原則として予告なしに実施されるものです。臨検で法違反が明確になれば、是正勧告を受けることになるでしょう。他人事ではなく、自社の問題として労基署の臨検に備える必要があります。
本稿では、労基署の臨検を概説したうえで法改正のあった時間外労働の上限規制について焦点を絞ってレビューします。