「同一労働同一賃金」のすべて 新版

 初版本が2018年2月に出版されてから1年余りでもう新版の登場です。前回は、ガイドライン(案)について書かれたものなので、いわば途中経過です。今回は、完成した同一労働同一賃金ガイドラインを含み、全般にわたって解説されています。ガイドラインに書かれていないことが、“ココ”にあるといってよいでしょう。

 働き方改革実現会議のメンバーであった著者は、同一労働同一賃金を主導した一人です。日本を代表する労働法学者の一人だと思いますが、この書籍は学術書ではありません。研究者が書いた書籍でありながら、実務的な参考書として使用することができます。

 同一労働同一賃金ガイドラインには、基本給や賞与等について「問題となる例」と「問題とならない例」が記載されています。しかし、これを読んだだけで自社の制度を改定できる人事担当者は少数派でしょう。ガイドラインだけでは読み取れない内容、いわば改正法が予定している同一労働同一賃金とは何かを教えてくれる書籍です。

 例えば、正社員に職能給制度をとっていれば、パートタイマーに対しても職能資格を付与し、基本給制度の中に位置づけるような方向性が求められていると書かれています。賞与についても、パートタイマーが会社の業績に貢献しているのであれば、寸志程度では不合理とされるようです。実務家からすると、同一労働同一賃金の実現は不可能だと思うようなことが平気で書かれているのです。つまり、同一労働同一賃金関連法は、非常に高いハードルを想定していることが分かります。

 これらの法律によって、すぐに罰則が適用されるわけではありません。紛争化しない限り、問題が顕在化しないといってもよいでしょう。だからといって、何の対応策も取らなければ、裁判等で会社のリスクが増大するだけです。ハードルが高くともリスクをミニマイズしようと努力する人事担当者にお薦めしたいと思います

 

 

著    者:水町 勇一郎

出 版 社:有斐閣

発 売 日:2019年9月

カテゴリー:実務書(労働法)

 

 

 

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