親と子の就業規則

Q.親会社の就業規則を子会社で使用するのは問題でしょうか

A.子会社の視点で作った方がベターでしょう

 子会社が設立される場合、最初はほとんどの従業員が親会社の出向社員で構成されることがあります。その後、子会社が成長していく過程では、出向社員が少しずつ帰任し、いわゆる “プロパー社員”が増える局面を迎えるでしょう。出向社員がたくさんいる間は、親会社の就業規則をそのまま子会社で用いることに違和感はありませんし、運用しやすいだろうと思います。しかし、その後問題となるケースが出てきます。

 例えば、休職の場合です。長期間の休職を認める大企業の就業規則をよく見かけます。しかし、収益力の発展段階である子会社にとっては、重荷になってしまうことがあります。特に最近では、メンタルヘルス等で休職をする従業員が増えていますので、自社の体力に見合った休職期間を設定することも必要でしょう。また、所定労働時間は1日7時間、年次有給休暇は入社日に10日を付与する大企業もあります。親会社には労働組合があり、長年の労使交渉の積み重ねによって獲得された就業条件であるため、世間相場を上回っていることもあります。グループ企業とはいえ、親会社と子会社は別々の法人格を持つ異なる企業ですから、自社にフィットする就業規則を使用するべきでしょう。

 なお、いったん就業規則を作成すれば、就業条件を引き下げることは不利益変更とされ簡単に実施はできません。つまり、最初が肝心だといえるでしょう