安衛法と労基法で違う労働時間

Q.長時間労働に伴う医師面談が必要とされる時間は、どのように計算するのでしょうか

A.週40時間を超えた時間数ですが、労基法の時間外労働とは異なります

 月80時間超の長時間労働となり、疲労の蓄積が認められる従業員から申し出があった場合、原則として会社は医師による面接指導を受けさせなければなりません(安衛法66条の8、安衛則52条の2および3)。このケースと労基法の時間外労働の計算方法は異なりますので注意が必要です。労基法では、1週40時間・1日8時間を超えた場合または法定休日に労働させた場合、時間外・休日労働となります。一方、安衛法が定める医師面談が必要とされる時間は、「休憩時間を除き一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間」です。計算式で表現すると「1か月の総労働時間数(労働時間数+延長時間数+休日労働時間数)−(計算期間(1か月間)の総暦日数/7)×40」となります(平18・2・24基発0224003号)。

 例えば、1日の所定労働時間が8時間、月の所定労働日数が20日、歴日数が30日、結果としての時間外労働72時間と法定休日労働8時間の場合、労基法と安衛法を対比すると下記のような計算式になります。

【労基法の時間外・休日労働時間の計算】

  時間外労働72時間+法定休日労働8時間     = 80.0時間

【安衛法の医師面談が必要とされる時間の計算】

  8時間×20日+72時間+8時間 −(30÷7)×40 ≒ 68.6時間

 労基法では80時間、安衛法では68.6時間となり、11.4時間の差異が生じています。その月の歴日数と所定労働日数の関係等で、様々な組み合わせがありますので、人事担当者は事前に確認しておく必要があるでしょ