年金不安の正体

 コレ、わかりやすい。です。

 年金に賦課方式と積立方式があるのは誰しも知っています。知っているはずなのに、言われてみて改めて気づくことがあります。積立方式は「制度を導入してから年金がきちんと支払われるようになるまでに、40年以上の年月が必要となる」と書かれています。それが、積立方式です。現在の国民年金は、賦課方式ですが20歳から60歳まで保険料を40年間支払って、65歳からもらえるのが基本です、つまり、40年間を要しています。1960年に国民年金はスタートしました。積立方式で実施すると、初めて年金が支給されるのは、例えば、制度開始時点で20歳だった人が60歳になる2000年になります。それではその間、年金を必要とする高齢者は年金を受給することができません。米・英・独・仏など諸外国が賦課方式を導入しているのも頷けます。当たり前のことなのに。改めて学んでみる必要性を感じます。

 失礼ながら、著者である海老原先生は年金の専門家というわけではないでしょう。ジャーナリストとして、人事・雇用・労働などについて鋭い考察を発表し続けているのを知っています。今回、年金問題の第一人者である慶應義塾大学の権丈善一先生のアドバイスを受けて執筆に至っているようです。だからこそ、新鮮な視点で遠慮なく表現できているのかもしれません。「メディアのウソを暴き、問題の本質を明らかに」してくれるそうです。

 年金制度はわかりにくいと敬遠しがちな人事担当者のみなさんに、是非お読みいただき1冊

著    者:海老原 嗣生

出 版 社:筑摩書房

発 売 日:2019年11月

カテゴリー:新書(年金制度)