就業規則モデル条文【第4版】

 優れた解説書です。

 単なるモデル就業規則の解説に留まらず、考え方や運用について詳しく解説されています。労働法全般に関する理解を深めることが可能です。いわば、“痒い所に手が届く”参考書といったところでしょうか。例えば、この書籍には、「医療情報提供等に関するご承諾の件」という同意書の雛形が載っています。

 人事担当者をしていると、従業員からの復職申請の対応で苦慮することがあるでしょう。私傷病休職の場合、主治医の書いた診断書を提出してもらうのが通常です。復職するための添付資料ですから、そこには「復職可能」と書かれています。しかし、従業員の主治医は、会社の業務内容を詳しく知りません。患者の依頼によって、患者側に立った診断書になりがちです。きちんと確認することなく復職させた結果、病状が悪化すれば従業員のためになりませんし、会社の安全配慮義務を問われることにもなりかねません。このような時、会社の産業医から従業員の主治医に対して、詳細な医療情報の提供を求めることができれば、上手に対応できるでしょう。ただし、医療情報は極めて高度な個人情報です。従業員本人の同意がなければ、主治医が提供してくれる可能性は低くなります。その同意書の文面を考えるのは、結構大変です。そんな時にも役立ちます。

 読み終わってみれば、ポストイットとアンダーラインのオンパレードになるでしょう。一度、手に取ってご覧になっていただければ幸い

著    者:中山 慈夫

出 版 社:経団連出版

発 売 日:2019年7月

カテゴリー:実務書(労働法)