治療と就労の両立支援ガイダンス

 従業員がガンになったら、どのように対応しますか?

 ガン治療は、すさまじいスピードで進歩しており、治る病気になりつつあります。欠勤・休職を有効活用することで、復職する従業員が増えているのです。著者は、企業の従業員データを用いて、ガンの種別ごとに療養日数や復職率など、症状と就労の関係を統計分析しています。そして、十分な休職期間と復職時の短時間勤務制度の重要性を説きます。

 従業員のメンタルヘルス対応で、悩んでいる人事担当者も多いでしょう。信頼できる産業医がそばに居てくれれば、頼もしく感じるはずです。著者いわく、良い産業医には次の4つの基本条件があるそうです。①会社と連携できること、②約束した日に確実に来社すること、③メンタルヘルス不調社員の対応ができること、④社員と信頼関係を築けること、の4点です。メンタルヘルス対応ができることは、産業医の必要条件であり必ずしも精神科医でなくともよいそうです。また、信頼できる産業医を見つけるための1つの指標として、日本産業衛生学会が認定する「産業衛生専門医・指導医」の制度があるそうです。産業医学のトレーニングを受け試験に合格した「プロの産業医」の証です。上から目線の産業医など「白衣を着ているだけの」産業医とは契約を打ち切るべきだと書かれています。

 休職から復職への段取り、復職判定のチェックリストなど、参考になる情報も盛りだくさんです。従業員の健康関連実務で困っている人事担当者にお薦めしたいと思いま

著    者:遠藤 源樹

出 版 社:労務行政

発 売 日:2020年3月

カテゴリー:実務書(両立支援)