ブラック職場があなたを殺す

 「 Dying for a Paycheck 」 給料のために死ぬ

 何ともショッキングな原題です。「 Karoshi 」過労死は英語の辞書にも載っているそうですが、この書籍はアメリカのお話です。過重労働は、日本だけの問題ではないようで、“職場のストレス”が従業員の健康や命に影響を及ぼすことが強調されています。日本でも名の知られているアメリカの大企業が、どれほど従業員を使い捨てているかが描写されています。意図しているわけではないかもしれませんが、従業員に対する無関心がまねいている問題のようにも感じます。また、日本の事例として「電通事件」がニューヨークタイムズで紹介されたことも載っています。

 著者は、スタックランキング・システムをやめることも提案しています。これは、「上位20%をA、下位10%をC、その中間をBという具合に評価」する制度のことです。GEの元CEOジャック・ウェルチが推奨して有名になったそうです。皆さんの会社でも、評価の分布規制を運用されてはいませんか。スタックランキング・システムは、「社員同士の対抗意識が強まり、ライバルを蹴落とす行為が横行して、社員の間の社会的な絆」を壊すことになると書かれています。

 この書籍のオビには、「ホワイトカラーこそ現代の「死に至る職場」である」と書かれています。見過ごすことができません。そこまでの認識をもって対応できている企業がどれほどあるでしょうか。特効薬があるわけではないですが、人事担当者として改めて考えてみる必要があるでしょう。問題提起として受けとめたい1冊で

著    者:ジェフリー・フェファー 著/村井 章子 訳

出 版 社:日本経済新聞出版社

発 売 日:2019年4月

カテゴリー:経営書(人材活用)