なぜ男女の賃金に格差があるのか ~女性の生き方の経済学
誰もが知るノーベル経済学賞(2023年)受賞者です。
著者は、アメリカの「過去100年(以上)にわたる大学卒業後の女性は、5つの異なるグループにきれいに分かれている」と記しています。およその大学の卒業年に応じて次のように区分し各章で解説されます。
第1グループ:1900年~「家庭かキャリアか」
第2グループ:1920年~「仕事のあとに家庭」
第3グループ:1945年~「家庭のあとに仕事」
第4グループ:1965年~「キャリアのあとに家庭」
第5グループ:1980年~2000年「キャリアも家族も」
各グループについて、歴史上の事実・人物やテレビドラマなど、さまざまな事例を用いて解説してくれます。その中で、「マリッジバー」が気になりました。第2グループの時代には、世界恐慌による失業問題から女性を採用で差別したり、結婚した女性を解雇したりするというマリッジバーの問題が大きくなったそうです。現在では考えられませんが、民間企業や政府機関、特に学校の雇用・解雇政策として用いられました。政策ではないものの、日本にも女性の「結婚退職」という言葉がありました。似たようなものなのかもしれません。
著者が指摘するのは「時間の問題」です。特に、育児の適齢期とキャリアを育む適齢期が重なることが問題です。アメリカでは、5つのグループがバトンを渡してきた結果、現在まで進めることができたようです。今後については分からないとしながらも、「1つの解決策は、柔軟性のコストを下げること」だと言います。仕事と家庭の「トレードオフを安くする」ことです。リモートワークや勤務形態の柔軟化もつながる可能性があります。
遅れた日本と進んだ欧米というステレオタイプの視点だけでは足りないでしょう。女性が苦労してきたアメリカの状況を学ぶことで、人事担当者としての見識を高めてくれる1冊になりそうです。