働き方改革の世界史

 なぜ、こうなっているのか。足元に続く今までのことが分かります。

 日本の労働史を追うだけでも大変なのに、世界各国の労働史を把握するなんて尋常なことではありません。それを一気に、短時間で把握させてくれる書籍です。著者は、軽快なタッチで語ってくれます。

 次の12冊の古典を紹介しながら、現在の労使関係の成り立ちを教えてくれます。(1)1927年「産業民主制論」(2)1969年「サミュエル・ゴンパーズ自伝 70年の生涯と労働運動」(3)1954年「労働運動の理論」(4)1983年「経済民主主義-本質・方途・目標」(5)1961年「労使共同経営」(6)2004年「労働者問題とキリスト教」(7)1957年「労働者-その新しい地位と役割」(8)1969年「イギリスの団体交渉制-改革への処方箋」(9)1997年「対決に未来はない-従業員参加の経営革命」(10)1999年「会社荘園制」(11)1979年「自主管理への道」(12)1963年「労使関係と労使協議制」

 一番古いもので1927年、一番新しいもので2004年に出版されたものです。12冊の出版年を平均すると1971年(昭和46年)になります。第1次オイルショックが1973年ですから、その前約50年とその後約30年の間の出版です。この間には、英のコレクティブ・バーゲニング、米のジョブ・コントロール、独のパートナーシャフト、仏の自主管理思想、そして日本の労働組合など、いろいろな労使関係が模索された経緯がわかります。

 この書籍を読めば、今持っているご自身の知識をきっと補強してくれるでしょう。人事担当者として磨きをかける1冊になってくれそう

著    者:濱口 桂一郎、海老原 嗣生

出 版 社:筑摩書房

発 売 日:2020年9月

カテゴリー:新書(労働史)