労働経済

 労働経済学が、人事の仕事に役立つことが分かります。

 著者である清家先生は、元慶應義塾大学塾長であり、政府の審議会などでリーダーシップを発揮されてきた超大物です。この労働経済学の大家が、かつての教え子と一緒に書いたものです。この書籍も含めて労働経済学はやや難解な部分もありますが、人事担当者にとっては実務に役立つ学術的背景を身に着けることができます。

 例えば、日本の失業率が低い理由、新卒一括採用の重要性、成果主義を機能させる方法、学生が大企業志向になる理由、年功賃金が発達する理由、定年制の存在理由など、人事担当者が知っていれば必ず役に立つ理論を理解させてくれます。反対に、すぐ手に入る学術的根拠がありながら、知らずして語ることなかれ、といったところでしょうか。

 この書籍のはしがきには、「労働経済分析を仕事とするのでない一般読者」のために、「できるだけ平易な記述とするために数式的な説明などはかなり省いて」いると書かれています。それでも、実務家からすると少しだけハードルを感じるかもしれませんが、この機会に読んでみてはいかがでしょうか?人事担当者として見識を備えるためには必要なプロセスだと思います。自信をもってお薦めできる1冊

著    者:清家 篤、風神 佐知子

出 版 社:東洋経済新報社

発 売 日:2020年10月

カテゴリー:学術書(労働経済)