日本的雇用・セーフティーネットの規制改革
「安倍政権〜を反面教師として菅新政権が向かうべき政策の内容を明らかにすることが、本書の主たる目的である。」と書かれています。いわば「働き方改革総決算」のような位置づけでしょうか。各章のタイトルを見れば、それがわかります。
第1章 安倍政権の経済政策を評価する
第2章 日本的雇用慣行と働き方改革
第3章 長時間労働の改革とテレワーク
第4章 同一労働同一賃金と非正規社員問題
第5章 解雇金銭解決のルール化
第6章 高年齢雇用安定法の弊害
第7章 女性の働き方改革
第8章 全世代型社会保障改革の理念と現実
第9章 大きな改革を避けた年金改革法
第10章 医療と介護保険改革
また、低成長期には可能性の乏しい昇進機会を争うことは不毛な結果となるため、「出世競争は一部のワーカホリックな社員に委ねて、大部分の社員は、〜ジョブ型の働き方が相対的に増えることが望ましい」と書かれています。ふつうの社員は、もう頑張らなくてよいと言われているようにも感じるのでやや意気消沈しますが、その事実認識や解説には敬服します。
この1冊を読むだけで、人事担当者が直面している現状の問題点とこれからの方向性を感じとることができるでしょう。情報収集に時間をかけることが難しい人事担当者にとっては、短時間で状況を把握し人事施策に活用できる概説書の位置づけになるかもしれません。著 者:八代 尚宏
出 版 社:日本経済新聞出版
発 売 日:2020年12月
カテゴリー:一般書(雇用システム)