逐条解説 労働基準法

 うすくて使いやすいです。とはいっても、400ページは超えています。

 法律の解説書といえば、法律の条文を一つずつ丁寧に解説してくれるコンメンタールが基本でしょう。コンメンタールはドイツ語だそうです。労働基準法のコンメンタールといえば、厚生労働省労働基準局編の『労働基準法(上)(下)』が最も重要な書籍でしょう。このコンメンタールは、上下巻合わせて1,114ページ、約1.5㎏、14,038円(2021年7月19日現在)であり、とても持ち歩ける書籍という感じではありません。その点において、携帯が可能なコンメンタールとして、実務に耐えるのがこの書籍です。

 もちろん、軽さが売りではありません。例えば、「労働時間とは何か」という項目を立て、「労基法には労働時間を定義する規定がないので、労働時間をどう定義するかについては議論があるところである。」と解説してくれます。とても助かる記述です。自分では理解していても、人事担当者があまり知識のない従業員に法律を説明する場合、分かりやすい参考資料を探すのは大変です。そういったとき、簡単に説明してくれる資料になります。厚生労働省のコンメンタールは、やや敷居が高いので、この書籍ならきっとお役に立つでしょう。

 著者は、元労働基準監督官です。監督官がどのように労働基準法を解釈しているのかを知る重要な資料にもなります。労働基準監督署の臨検があった時には、とても参考なるでしょう。何冊か労働基準法に関する入門書を読破し、さらに細かく勉強したいと考える人事担当者にとっては、“うってつけ”の1冊で

著    者:角森 洋子

出 版 社:経営書院

発 売 日:2019年12月

カテゴリー:実務書(労働法)