第2版 これ1冊でぜんぶわかる! 労働時間制度と36協定
「痒い所に手が届く」書籍です。
著者は弁護士ですが、人事担当者としての経験もあり実務家の知りたい細かいところを含めて解説してくれます。例えば、次の3点などは参考になります。
①法律上、「事業場外みなし労働時間制」を採用することは可能だが、スマートフォンが普及した現代では、導入の前提となる「労働時間の算定が困難」とは言いにくいこと。
②「36協定の本社一括届」を利用したいがために、時間外労働の上限時間を無理に統一するのは法の趣旨に反するので、事務の効率化を優先しないこと。
③「定額残業手当」を支給する際、「営業手当」などの割増賃金であることを連想できない名称は、そもそも割増賃金として支払われたものといえるのか、という裁判上の争点を増やしてしまうため「手当の名称」にも気を配ること。
昨今、労働基準監督署の臨検では「事業場外みなし労働時間制」に対して厳しい視線が注がれていることを実感します。実務上、判断に迷うケースも出てくるため上記のようにはっきり記述してもらえると、見直しのきっかけになるかもしれません。
この書籍は、新しい何かが書かれているわけではないのですが、厚生労働省の公表するパンフレットに「もう一言」を付け加えた感じです。簡単に読むことができます。いろいろな参考書に手を出す前に、取りあえずおさえておきたい情報です。新任の人事担当者にお薦めしたいと思います。
著 者:神内 伸浩
出 版 社:労務行政
発 売 日:2021年7月
カテゴリー:実務書(労働法)