女性自衛官 〜キャリア、自分らしさと任務遂行

 女性のキャリアについて、まじめに書かれた書籍です。

 女性活躍推進や女性管理職の増加など、提言されて久しい雇用社会が存在します。男性優位の社会の中で、どのように女性のキャリアを考えるべきかについて悩んでいる会社も多いことでしょう。少し視点を変えると、女性の活躍が進行している組織がありました。それが、幹部自衛官の世界です。階級社会である自衛隊は、適材適所の考え方が強く存在し、性別ではなく階級がものをいう世界であり、女性にとって働きやすい部分があるようです。 

 著者は、合計20人(30代が6人、40代以上が14人)にインタビューした結果をまとめており、この書籍の中で彼女たちの考え方にふれることができます。インタビューの対象者は、自衛官の中でも上級幹部とされる「佐官」クラスで、子供をもつ女性自衛官です。「「佐官」は、連隊長、艦長、飛行隊長等として、より大規模な部隊の指揮官や司令部等の幕僚という立場」で活躍するそうです。一般企業の課長よりも相当に高いレベルであることを想像させます。

 仕事と家庭の両立について、次の文章が出てきます。「子育てとの葛藤の乗り越え方の一つは、長い時間軸の中で「今」を考える、ということでしょうか。大変なのは今、ここを過ぎれば何とかなる、という前向きな気持ちも重要です。」長い時間軸という考え方は、キーワードなのかもしれません。

 女性の活躍推進について、女性管理職の割合や男女の賃金格差について公表しなければならない時代になっています。このような課題に悩む人事担当者にとっては、何かヒントになりそうな書籍です。あまり馴染みのない自衛隊の組織について学ぶこともできま

著    者:上野友子、武石恵美子

出 版 社:光文社

発 売 日:2022年3月

カテゴリー:新書(キャリアデザイン)