「東大卒」の研究 ~データからみる学歴エリート
「東大卒」は、どんな人たちなのか?
新卒採用に臨む人事担当者であれば、気になる存在でしょう。言わずと知れた東京大学は、国立大学の中で最大の規模(学部生が約14,000人、大学院生が約13,000人、教員が約4,000人)を持つ、明治維新後に設立された日本最古の大学です。「全学生の約半数が大学院に在籍しているという、いわゆる「研究大学」の典型」として位置づけられるそうです。
著者たちは、東京大学の卒業生にアンケート調査を実施し、卒業後のワークとライフそれぞれのキャリアについて分析しています。例えば、「同じ東大卒であったとしても、東大入学前の高校や中学、さらにはその背後にある出身家庭のあり方により、大学卒業後の収入が影響されてしまうという、悲しくなるような結果」が出ており、「東京大学の学生も卒業生も一枚岩ではないことが、今回の分析によって確認」できるそうです。
こんなデータも載っています。「女性の東大卒業生の結婚相手は半数程度が東大卒」だそうです。アンケートの中でこの質問について回答してくれた178人のうち、夫の最終学歴が東京大学と回答したのが89人で最も多く、次いで慶應義塾大学が11人、早稲田大学が6人、一橋大学が5人になっています。その反対に、男性の東大卒業生1,070人の回答では、妻が東大卒であるケースは6%になっており、このアンバランスな理由が考察されています。
この書籍は、「学歴エリートはどこからきてどこへ行くのか」について、データに基づき解説してくれます。このようなデータはあまり多くないでしょうから興味を惹かれる人も多いでしょう。格差社会のリアルについて学べる1冊と言えそうです。
著 者:本田由紀 編著
出 版 社:筑摩書房
発 売 日:2025年4月
カテゴリー:新書(教育社会学)
