3訂版 会社は合同労組・ユニオンとこう闘え!

 会社に労働組合がなくとも、団体交渉はあります。

例えば、解雇された元従業員が「合同労組」に加入し団体交渉を求められる場合です。合同労組は、企業内労働組合とは異なり一定の地域ごとに結成される労働組合のことです。駆け込み寺の一つと言っても良いでしょう。会社が団体交渉に応じなければ、不当労働行為とされ違法になります。その後、訴訟等に発展させないためにも、事前に情報を得ておくことは大切でしょう。

団体交渉をする場合には、貸会議室をレンタルし交渉時間は2時間とすることがお薦めだと書かれています。社内の会議室等で実施すると際限なく長時間の交渉を要求され、相手のペースにはまりかねません。会社はなるべく短時間で終わらせたいと考えるでしょう。しかし、1時間では短いと言われそうです。著者は、弁護士としての経験から2時間あればほとんどの労働組合が納得してくれると書いています。合同労組は、団体交渉の専門家ですので、相手任せにしてはいけません。また、団体交渉の場では、即答を求められるケースもあるでしょう。その時には、「持ち帰って社内で協議したい」と言っても構わないそうです。事前に知識を持っていれば、心にゆとりも生まれ対応しやすくなるでしょう。

この書籍では、時間外労働で遡及期間が問題になった際の「残業代放棄に関する念書」や不利益変更が問題になった際の「就業規則変更同意書」など、いくつかの書式が出てきます。いずれも団体交渉を想定したものですが、労働組合とは関係なく人事の実務で参考になりそうです。

著   者:向井 蘭

出 版 社:日本法令

発 売 日:202410

カテゴリー:実務書(労働法)