活用労働統計 2025
初任給が止まりません。
初任給は定期昇給しませんので、その上昇はベースアップということになります。物価上昇への対応というよりは、採用力を確保するために実施する意味合いが強いでしょう。では、どの程度引き上げるべきか? 答えはありません。競合他社の水準や自社の支払能力などを勘案して、実現可能なレベルを検討することになるでしょう。なお、初任給だけを引き上げると賃金カーブが歪んでしまうので調整が必要です。そのため、賃金表全体の改定に影響します。
そんな時、コンパクトで必要なデータを揃えているのが、この書籍です。日本経団連、連合、東京都産業労働局または厚生労働省の賃上げに関する統計が載っています。また、過去50年以上にわたる毎年の賃上げ状況について、たった1ページを見るだけで把握することもできます。そして、大まかではありますが、業種別や規模別に確認することも可能です。その他にも、雇用・労働に関するデータが盛りだくさんです。
巻末の「用語の解説」は、知識の整理にも大変役立ちます。「名目賃金」と「実質賃金」の違いや、「労働力人口」や「完全失業者」の定義など、普段何気なく使っている用語について簡潔に説明してくれます。また、「主要統計一覧」では、どのような調査が存在しどれを調べればよいか、当りをつけるのに重宝します。とりあえず知りたいことが何でも揃う。そして小さく軽くて扱いやすい。人事担当者にとってハンディなデータ資料集の決定版といえるでしょう。
著 者:生産性労働情報センター 編
出 版 社:日本生産性本部 生産性労働情報センター
発 売 日:2025年1月
カテゴリー:資料集(雇用、労働など)