日本労使関係史 1853-2010

熟練の人事担当者にお薦めします。

 この書籍は、1853年(ペリー来航の年)から2010年(現代)までの労使関係について書かれたものです。労使関係の歴史書だからといって、今の人事の仕事とは関係がない、ということではなさそうです。この中には、人事担当者が知っておくべき“日本の雇用システム”の成り立ちが登場します。

 例えば、“年功賃金”や“終身雇用”は、最初から存在したものではなく、日本が近代化する過程で根付いたものであること、生産労働者が人間として平等に扱われたいと望み、企業の“メンバーシップ”を獲得しようとしたこと、などが詳細に書かれています。また、“メンバーシップ型社員”という言葉の生みの親である濱口桂一郎先生の著作 『若者と労働』の中で、その言葉の出所だと名指しされている書籍でもあります。

 内容が濃く読破するのに少々根気が必要かもしれませんが、人事の仕事について研鑽を重ねてきた方であれば、ご自身の知識を整理するために非常に役立つ書物といえるでしょう。

著    者:アンドルー・ゴードン 著/二村一夫 訳

出 版 社:岩波書店

発 売 日:2012年8月

カテゴリー:学術書(労使関係史)