日本の雇用と労働法

 本を嫌いな方にお薦めします。だって新書ですから・・・。

 著者である通称“hamachan先生”といえば、超一流の研究者でありながら、キングブロガーの異名を持つ一風変わった出で立ちの方です。この先生のホームページをチェックしている専門家も多いことでしょう。

 日本はメンバーシップ型の雇用契約を結ぶ国であり、欧米流のジョブ型の雇用契約とは異なる雇用システムを持つ。ここから、この本はスタートします。この“メンバーシップ型” 雇用契約は、一言で日本の雇用システムの多くを物語っています。

 法政大学の授業用に執筆されたとのことですが、新書でありながら雇用システム、歴史、労働法と、よくこのスペースに押し込むことができると感心させられます。新書とは異なる次元に存在する書物だと思った方が良いでしょう。

 労働法を苦手としている人でも、この本なら好きになれるかもしれません。それだけ、分かりやすく面白く、深く、本当に勉強になる本です。

著    者:濱口 桂一郎

出 版 社:日本経済新聞出版社

発 売 日:2011年9月

カテゴリー:新書(雇用と労働法)

 

 

トップ・ミドルのための採用から退職までの法律知識 [14訂]

 労働法の弁護士では、ナンバー1とされる安西愈先生の書籍です。

 安西先生は、素晴らしいキャリアをお持ちの方で、高校卒業後、労働基準局で仕事をしながら中央大学法学部の通信教育課程を卒業、労働基準監督官として勤務の後、司法試験に合格し弁護士登録をされています。この経歴からしても尊敬に値する人物だと感じさせられます。

 この本はタイトルにある通り、採用から退職に至るまでの企業内で起こる様々な人事問題を網羅しており、人事のバイブルとまで呼ばれる実務書です。様々な法改正にもタイムリーに対応しており、現在14訂ということからしても、万人に評価されたロングセラーだということがよくわかります。

 この本は人事担当者に限らず、若手からベテランまで読者を選びません。また、1,000ページを超えるボリュームとなっていますので、通読する時間のない人には、問題への対応の都度、事典として利用することも有意義だと思われます。

 他の参考書を数冊購入する位なら、これを手元に置くだけで十分だと言ってよいでしょう。人事部署には、必ず常備すべき実務書と言っても過言ではない、究極の1冊です。

著    者:安西 愈(あんざい まさる)

出 版 社:中央経済社

発 売 日:2013年9月

カテゴリー:実務書(労働法)